

理学療法士が伝える医療・福祉のアロマ
アロマテラピーで現代医学を補い、「健康」と「幸せ」へ導く医療へ
理学療法士が伝えるアロマテラピーが医療や福祉に有用な理由

ストレスが原因と考えられる病気や、よく原因がわからない自己免疫疾患などが増えています。そこで現代医学を補うのに、アロマテラピーなどの代替療法が注目されています。アロマテラピーを現代医学の治療に補助的に活用することで、心・体・精神を含めたトータル的なケアや病気の予防を促すことができます。
アロマテラピー提供医療機関のご紹介
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〈 提携医療機関 〉 たなべ整形外科クリニック
慢性的な疼痛、整形外科的な症状をお持ちの方にアロマトリートメントを実施しています
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〈 アロマボランティア提供医療機関 〉 JA広島総合病院
緩和ケアにてハンドトリートメントのボランティアをしています。
医療機関でのアロマテラピーの実践

2005年よりアロマテラピーをたなべ整形外科クリニック内で導入いたしました。理学療法の補助的手段として有用であると感じています。
お一人様1時間の枠を取り、カウンセリングも含めたトリートメントを実践してきました。1週間に1,2日、月に30症例~50症例にトリートメントを行ってきました。これまでの症例数は軽く4000症例を越えます。
アロマトリートメントは、例えば主訴である疼痛の部分を軽減するのにも、もちろん有用ですが、それだけではなく患者全体へと働きかけ、不定愁訴や二次的に起こっている症状、むくみや冷え、便秘、自律神経失調、不眠、ストレス、更年期障害など、さまざまな症状の改善にも有用です。
また、アロマテラピーは、患者のセルフケアとしても取り入れやすく、患者自身が自覚と責任を持ち、病気の予防や自身の健康を管理することに役だっています。
最近では、JA広島総合病院様でハンドトリートメントのボランティアもさせていただいています。緩和病棟での患者様に施術をさせていただくことが多いです。こちらの病院では、総合病院であるにも関わらず、看護師様の多くがアロマテラピーにご興味をもたれ、積極的に実践されています。アロマテラピーの勉強会を開いていただいたり、地域とも密着した病院でもあるので、アロマテラピーの活用の場は広がります。
現場を知っている理学療法士がそれぞれの現場に合ったアロマの活用法を提案いたします!
講演会・セミナーの依頼を承っております
アロマテラピーを活用される医療・福祉機関が大変増えております。どのように、アロマが活用できるのか、精油の品質やリスク管理も含めてお話させていただいています。
今まで開催した講演・勉強会の内容
・ストレスケアのためのアロマテラピー
・抗菌アロマテラピー
・介護のためのアロマテラピー
・訪問看護とアロマテラピー
・リハビリに活かすアロマテラピー
・実践ハンドトリートメント講座
・メディカルアロマテラピー入門講座
・嗅覚のしくみとアロマテラピーの可能性 など。
ご相談や内容はお気軽にお問合せくださいませ。
講師講演実績 こちら
各施設に応じたアロマテラピーの導入やスタッフへの研修をサポートいたします
アロマハンドトリートメント 動画案内
簡単なハンドトリートメントの手技を動画にしてみました。セミナーの中でも実際に体験し、アロマのタッチを感じてみることができます。患者さんとのコミュニケーションとして導入してみてはいかがでしょうか?
医療・福祉の中でのアロマテラピーの可能性
全人的なケアの必要性 ホリスティックアロマテラピー

アロマトリートメントは、嗅覚系を通じて自然治癒力の源泉に働きかける「香りの力」、第2の脳と言われる皮膚へ触れることによる「タッチの力」、数百種類の成分を含む精油の「天然化学成分の力」、これらの相乗作用で、総合的全体的なアプローチが可能になります。これらの3つの要素はいずれも心身「全体」へと作用する力があります。
ホリスティックという言葉があります。ギリシャ語で「全体性」を意味する「ホロス(holos)」を語源としています。そこから派生した言葉にwhole(全体)、 heal (癒す)、health(健康)、 holy(聖なる)などがあります。もともと健康は「全体」という意味なのです。
現代医学においては、対症療法的なアプローチが主となりますが、アロマテラピーでは患者の自然治癒力を高めることに焦点を当て、体・心・精神を含め、全体へ働きかけます。
ここからどのように患者全体へ働きかけることができるのか、1.「香りの力」2.「タッチの力」3.「天然化学成分の力」と題しましてお話していきますね。
1.「香りの力」 嗅覚系作用による自然治癒力の源泉へのアプローチ
嗅覚経路の簡易解説
匂い成分は、揮発性の分子であり、これが空気中に拡散されると、鼻腔の嗅上皮という特別な粘膜に覆われた場所にある嗅細胞という神経細胞に受け取られます。嗅細胞からの情報は、12対の脳神経の1番目、嗅神経を通じて、大脳辺縁系(本能の座)に送られます。大脳辺縁系というのは、古い脳とも言われ、扁桃体・海馬・帯状回からなり、私たちの本能的な情動、快・不快という感情や本能的な恐怖を感じる場所です。
大脳辺縁系の情報はさらに視床下部(生命中枢)に伝わり、自律神経系、内分泌系、免疫系へ作用します。一方では新しい脳といわれる、大脳新皮質(知能の座)の嗅覚野へも情報は伝わり、何の香りであるか、過去の記憶と照らし合わせ認識されます。
自分の好きな香りを嗅いで気分がリラックスするというのは、ただ気分の問題ではなく、大脳辺縁系という私たちの本能的な感情を司る場所から視床下部へ刺激が伝えられ、自律神経やホルモンに影響を与えているからです。
ストレスと嗅覚
ストレスを感じているとき、大脳辺縁系が「不快」を感じています。ストレスというのは、いわば目の前に敵がいるのと同じ状況で、本能的な恐怖を感じています。その情報が視床下部に伝わります。視床下部は、神経系や内分泌系を介して、戦うか逃げるかの反応を体に作り出します。これは生き延びるために必要な反応ですが、長く緊張状態が続いたり、さらなるストレスが起こると、心身が疲労し、耐えきれなくなります。
そこで好きな香りを嗅ぐと、大脳辺縁系が「快」を感じます。そうするとその信号が視床下部に伝わり、神経系、内分泌系、免疫系に作用し、バランスを取り、ホメオスターシスを維持することができます。香りの信号というのは、私たちの自然治癒力の源泉に働きかけるのです。
特別な感覚 嗅覚

嗅覚というのは特別な感覚で、五感(味わう・触れる・聴く・視る・嗅ぐ)の中で唯一、嗅覚のみが、大脳辺縁系(本能の座)にダイレクトに情報を伝えます。他の五感というのは、最初に大脳新皮質(知能の座)に信号が伝わって、それから大脳辺縁系に信号が行きます。大脳辺縁系というのは、私たちの本能的な感情を司りますから、嗅覚というのは、他の五感に比べて、本能や感情を揺さぶる力が強く、体への反応も早いのが嗅覚の特徴です。
それから、ものすごく重要な嗅覚のお話があります。神経というのは、一度損傷されると再生しないと言われていますが、嗅細胞や海馬の一部(歯状回)は、成人であっても生涯を通じて新しい神経細胞が生まれる場所です。
嗅覚経路の神経細胞が生まれ変わるのは何故でしょう?原始時代においては、嗅覚が生き延びるのに、なくてはならない感覚だからだと考えられます。安全か危険かすばやくキャッチし、すばやく体の反応を起こし、戦うか逃げるかの行動を取らなければいけなかったわけです。
現代の生活は、視覚からの情報にあふれ、人工香料にまみれ、嗅覚を使う頻度も低くなっています。本物を嗅ぎ分ける力も直観力も落ちています。何が本物で安全か、何が今の自分にとって必要なものなのか、それを嗅ぎ分け、生きる力を高めるのに必要な感覚が嗅覚です。自然の本物の香りを知ることが、本来の嗅覚を呼び覚ますのに必要と感じます。
認知症の予防とアロマ

今認知症の予防にアロマテラピーが注目されています。アルツハイマー病患者は、ごく初期の症状として嗅覚異常がわかっています。アルツハイマー病患者は早期に短期記憶を蓄積する海馬、本能的な情動をつかさどる扁桃体、自律神経の中枢である視床下部に神経の変化が起こっています。嗅覚経路に異常が起こることがわかっていますので、香りでそれらの場所を刺激するというのは大事なことになります。
また、認知症による徘徊や攻撃的な行動・介護拒否もストレスホルモン(コーチゾン)が原因であるとわかってきました。海馬は記憶をつかさどるだけではなく、ストレスホルモンを調節する最高中枢に当たります。アルツハイマー病になると、海馬が委縮して、ストレスホルモンを減らすブレーキの機能が弱まります。ストレスホルモンが過剰になり、その結果脳が興奮した状態が続き、暴力徘徊などの問題症状が起きやすくなることがわかっています。
アロマテラピーは、香りの作用によって、海馬に直接刺激を与えるだけではなく、タッチなどにより、ストレスホルモンの分泌を軽減させることが期待できます。
写真はアロマペンダントです。自分だけに香るしくみになっています。介護する方も、介護される方も、また若い方でも、高齢者でも、日常に香りを取り入れるのに有用な方法ですね。
2.「タッチの力」皮膚に触れることの重要性
脳と皮膚はつながっている。タッチと香りは脳を刺激する最強の組み合わせ。
人が成長していく過程で、人や動物は、心をこめてなでられたり、触れられたりすることが健やかな心身を作るのに必要です。
皮膚はお母さんのお腹の中で、赤ちゃんがその生命を紡ぎ出した時、神経系と同じ細胞の層からわかれてできるものです。
「皮脳同根」と言う言葉があります。皮膚と脳は同じ根っこからできており、皮膚に心地いい刺激を与えてあげると、同じ根である脳も快刺激を受けているという意味です。『皮膚は表に見える第2の脳』なのです。赤ちゃんのとき皮膚を撫でたりマッサージすると頭がよくなるとも言います。逆に脳で受けたストレスや心配、不安、怒り、喜び、悲しみは神経を通じ肌へ影響していきます。
アロマトリートメントは、皮膚への優しいタッチで、心へ深く働きかけます。
自分と他者との本当のコミュニケーションのあり方。皮膚は分厚い境界線を解く鍵。

アロマトリートメントでは、される側に何か無理を強いることはありません。心身に無理のない方法で、常にその方の心地よさを探求しながら、施術を行います。
皮膚というのは、自分と自分の外側の世界の境目です。人間は自分というものを何で感じるかというと触覚が一番わかりやすいそうです。心をこめてなでさするというのは、自己価値を改めて実感することにつながります。
触ることを許され、触ってもらうことを許し、不要な境界線が溶け、お互いの一体感を感じることができる最高のコミュニケーションになりえます。
病気や死に直面したとき、言葉でなく、「タッチ」や「香り」がその方を慰めます。
また、心をこめてなでさするというのは、脳内にオキシトシンという神経伝達物質がでているそうです。「愛情ホルモン」「絆ホルモン」と言われています。施術を体験してみたり、お互いにハンドマッサージをやってみるとわかりますが、心をこめてなで擦ると、こういうホルモンが分泌されて至福感を得られたり、絆が高まります。
私自身も、ハンドトリートメントのセミナーを開催すると、参加されているみなさんが心地よく、お顔の表情が和まれたり、さらにうまくいくと、会場が一体になり、至福の満たされた感情に包まれることをよく体験しています。
ハンドトリートメントは、施術する方も気持ちが良いものなのです!!!
精油成分は全身をめぐる
アロマトリートメントは、筋肉を緩ませる、副交感神経を優位にしリラクゼーションを促す、静脈やリンパ管に働きかけるタッチングの手技を用います。またブレンドされたオイルを直接皮膚に塗布し行いますので、精油の吸収による作用が期待できます。
3.精油という「天然の化学成分の力」
一つの精油に含まれる精油成分は、数百種類以上です。香りの成分=有効成分であり、数百種類の成分一つ一つに固有の香りと固有の作用があります。どのような精油成分がその主成分になっているのかを知ることで、その薬理的な特性が見えてきます。様々な薬理的特性もございますが、ここでは精油の抗菌作用についてお話したいと思います。
精油の抗菌作用を感染予防に利用してみませんか?

精油がもつ抗ウィルス作用や、抗菌作用は、エビデンスに基づいた研究が進んでいます。
ティートゥリー精油の抗菌スペクトル
ヘルペスウィルスⅠ型 0.0008%(IC50※50%阻止濃度)
肺炎マイコプラズマ 0.006%(MIC※最少発育阻止濃度)
白癬菌 0.04~0.75%(MIC)
(Trichophyton mentagrophytes)
白癬菌 0.04~0.75%(MIC)
(Trichophyton tonsurans)
黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌) 0.32%(MIC)
大腸菌(グラム陰性菌)0.32%(MIC)
緑膿菌2.0~>4.0(MIC)
引用書籍 抗菌アロマテラピーへの招待 井上重治 安倍茂著 フレグランスジャーナル社
抗生物質は単体成分であるがゆえに、耐性菌を作りやすいという問題点があります。
一方、精油に含まれる芳香分子は非常に多く、例えばティートゥリー精油の場合、抗菌、抗ウィルス作用など抗感染作用を持つ芳香分子だけでも、100以上あると言われています。そのため、微生物はすべての芳香分子に対して耐性を作ることができません。そのため精油に含まれるいずれかの芳香分子が耐性菌に対して優位に働きます。
精油の抗菌作用を活用すれば、耐性菌の問題にアプローチできる可能性があります。よい香りを院内に漂わせながら、同時に感染予防につながり、患者様やご家族の安心感が増すはずです。
予防医学にアロマを取り入れてみませんか?

抗生物質は、薬の服用や注射によって投与されます。感染症の予防に薬を使うことは難しいのではないでしょうか?
一方精油の場合は、皮膚塗布、吸入、まれに経口投与などを行い、感染経路を遮断するようなアプローチが可能です。嗅覚、皮膚、呼吸などいくつかの経路から作用します。
精油には日常の中で楽しみながら使用できる利点があります。また有用成分によって、呼吸器系や免疫系の機能を高め、病原菌に対して抵抗力を高めるアプローチが可能です。
ルームスプレーを作成し空気清浄を行う、マグカップにお湯を入れ、そこに精油を落として蒸気を吸入する、手洗い用の石鹸、消毒用のジェルを手作りする、うがいに使用する、呼吸器系の機能を高めるためにのどや胸にブレンドオイルを塗布する、免疫系の機能を高めるために背骨に沿ってブレンドオイルを塗布する、身の回りを清潔に保ち、掃除に使用するなど、日常の中で精油を活用することで、感染症の予防が行えます。
香りも個人の好みのものを選択でき、嗅覚経路からの作用で、自然治癒力を高め、ストレスケアにもなります。
まとめ
アロマテラピーのまとめ
・嗅覚系経路 大脳辺縁系→視床下部へと香りの信号が伝わり、自律神経系、内分泌系、免疫系という自然治癒力の源泉に働きかける。認知症の予防・治療にも期待される。
・タッチと香りの相乗効果によって、深いリラクゼーションに導き、血流・リンパの流れをよくすることが期待できる。患者への癒しの提供を行いながらの治療。
・精油の抗菌作用を活用し、耐性菌を減らすことができる可能性。
土屋から最後に

アロマテラピーのほんの一部の可能性を記しました。
理学療法士だった私がアロマテラピーに心底感銘を受けたのは、患者の肉体へのアプローチだけでなく、患者の心・精神・環境をも含めて、患者を元気にできる!という可能性を感じたからです。
慰めの言葉ではなく「香り」と「タッチ」、これが病気に直面した人に役立つ場面をこれまで何度も体験しました。
自然の恩恵である精油が私たちに与えてくれるものは、言葉で表現できるものばかりではありません。人間が、60兆個の細胞の集まり、組織の集まり、臓器の集まり、それだけで説明できない存在であるからです。
アロマテラピーに触れる、自然の恩恵に触れるというのは、例えば死に直面したとき、死が荘厳なるもの、安らかなものであることを思い出させてくれるかもしれません。
自然の恩恵であるアロマテラピーが医療や福祉の中で用いられることによって、患者の根本からの癒しを提供し、患者の生活の質(QOL)を高めることにつながると考えています。

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日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーターの資格が取得できます。メディカルハーブ(薬草)の「色」「味」「香り」「有効成分」を日常に取り入れ、五感を広げながら健康管理に役立てましょう。
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